潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは、大腸粘膜の炎症に伴いただれ、潰瘍を引き起こす原因不明の病気です。
下痢、血便、粘血便、腹痛などの症状が見られます。また、症状が軽快する期間(寛解期)、悪化する期間(活動期)を繰り返すという特徴を持ちます。
潰瘍性大腸炎は、クローン病とともに炎症性腸疾患に分類されており、いずれも厚生労働省より難病の指定を受けています。ただ、治療によって症状をコントロールすることは可能ですので、諦めることなく、ぜひ一度当院にご相談ください。

こんな症状はございませんか?

  • 下痢
  • 血便・発熱
  • 粘血便
  • 軟便
  • 腹痛
  • 発熱
  • 貧血

上記の通り、便の異常が症状の主体となります。ひどいケースでは、下痢のために1日に20回以上もトイレに駆け込むことがあります。

潰瘍性大腸炎の原因

細菌・ウイルス感染、食物アレルギー、ストレスなどさまざまなものが原因として指摘されていますが、未だはっきりしたことが分かっていません。
近年では、遺伝、食べ物、腸内細菌のバランス、免疫異常などの複数の要因が重なりあって発症しているのではないかという指摘がなされています。

潰瘍性大腸炎の検査と診断

血液検査、便検査、大腸造影検査、大腸カメラ検査などが行われます。
この中でも、特に重要になるのが大腸カメラ検査です。内視鏡によって大腸の粘膜を直接観察し、炎症やただれ、潰瘍の状態を調べることができます。
また必要に応じて、組織の一部を切り取り、病理検査にかけることもできます。
大腸カメラ検査は、症状が収まっている「寛解期」においても、炎症部や潰瘍部のがん化の有無を確認するため、定期的に受ける必要があります。

潰瘍性大腸炎のお薬について

潰瘍性大腸炎の治療においては、薬物療法が主体となります。
主に、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫調節剤、生物学的製剤などが使用されます。

5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)

潰瘍性大腸炎の薬物療法の中でも、中心となる薬です。潰瘍性大腸炎の方のうちほとんどを占める軽症または中等症に対して、5-アミノサリチル酸製剤は症状を予防し、また再燃を予防する薬剤として有効です。

ペンタサ

内服薬です。活性酸素の除去、ロイコトリエン合成の抑制によって、炎症の悪化や組織の障害を抑え、腹痛・血便といった症状の改善を図ります。一般的に、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の治療に使用します。

アサコール

内服薬です。活性酸素を除去そ、ロイコトリエンB4の産生を抑えることで、大腸の炎症を抑制し、腹痛、血便といった症状の改善を図ります。一般的に、潰瘍性大腸炎の治療に使用します。

リアルダ

内服薬です。活性酸素産生の抑制、合戦酸素による組織や細胞障害の抑制、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ活性化、核内因子κB活性化の抑制、アラキドン酸代謝物産生の抑制、ホスホリパーゼD活性化などの作用によって、大腸の炎症および腹痛、血便の症状改善を図ります。一般に、潰瘍性大腸炎の治療に使用します。

ペンタサ注腸

直腸内に注入するお薬です。活性酸素を除去し、ロイコトリエンの合成を抑えることで、炎症の悪化や組織障害を抑制し、腹痛、血便などの症状の改善を図ります。一般に、潰瘍性大腸炎の治療に使用します。

ペンタサ坐剤

直腸内に挿入する坐薬です。活性酸素の除去、ロイコトリエンの合成抑制により、炎症の悪化や組織障害を抑え、腹痛、血便などの症状の改善を図ります。
一般に、潰瘍性大腸炎の治療に使用します。

ステロイド剤

強力な抗アレルギー作用、抗炎症作用を持つことから、5-アミノサリチル酸製剤では症状をコントロールできなかった場合に、寛解へと持ち込むことを目的として、主に中等症~重症の方に使用します。

プレドニン内服

内服薬です。ステロイド(合成副腎皮質ホルモン剤)による抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用、代謝作用が得られます。潰瘍性大腸炎以外にも、さまざまな疾患に使用される薬です。

レクタブル注腸フォーム

直腸内に注入するお薬です。合成副腎皮質ホルモン剤の1つであるブデソニド製剤で、局所での抗炎症作用を発揮し、大腸の潰瘍の改善を図ります。一般的に、重症例を除いた潰瘍性大腸炎の治療に使用します。

免疫抑制剤

免疫調整剤「アザチオプリン」は、もともと臓器移植の際の拒絶反応の抑制、あるいは膠原病の治療薬として使用されていました。
アザチオプリンは、ステロイドを減量したときに症状が悪化する場合に、追加で使用するお薬です。おおよそ2~3ヵ月後に効果が出始めます。
効果が出るまでは、ステロイドの一時的な増量または減量のスピードを緩やかにする必要があります。

アザチオプリン(イムラン)

内服薬です。核酸合成の阻害によって、免疫抑制効果をもたらします。潰瘍性大腸炎においては、ステロイド依存性を示している場合の緩解維持に有効です。クローン病の緩解導入や緩解維持を目的として、あるいは自己免疫性肝炎の治療に用いられることもあります。

タクロリムス

内服薬です。T細胞に作用し、炎症の原因となるサイトカインの産生を抑えます。難治性の潰瘍性大腸炎において、各症状の改善が期待できます。その他、重症筋無力症、関節リウマチの治療にも用いられます。

生物学的製剤

バイオテクノロジーを活用し、生体が作る抗体を薬物として使用するお薬を「生物学的製剤」と呼びます。潰瘍性大腸炎の場合、主に重症例に使用します。

ヒュミラ

皮下注射により投与します。炎症の原因となるサイトカインの1つ「TNF-α」の働きを抑制することで、炎症の改善を図ります。一般的に、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、関節リウマチ、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎などの治療で使用されます。

レミケード

点滴により投与します。インフリキシマブによって炎症の原因となるサイトカインの1つ、「TNF-α」の働きを抑制し、炎症の改善を図ります。一般的に、ステロイドで十分な効果が認められない、ステロイドを減量すると症状が悪化する潰瘍性大腸炎の治療に使用されます。

エンタイビオ

点滴により投与します。潰瘍性大腸炎の治療薬として開発されました。炎症を引き起こすリンパ球が大腸の組織に過剰に侵入することを防ぎ、炎症の改善を図ります。

カログラ(2022年新薬)

内服薬です。潰瘍性大腸炎の治療薬として開発され、2022に発売されました。炎症部に発現するα4β1インテグリンやα4β7インテグリンに作用し、炎症を抑制します。5-アミノサリチル酸製剤で十分な効果が得られない、中等症の潰瘍性大腸炎に使用します。

ジセレカ(2022年新薬)

内服薬です。潰瘍性大腸炎の炎症に関与するたんぱく質「JAK」に働きかけることで炎症を抑制し、症状の改善を図ります。潰瘍性大腸炎の治療において、寛解状態の維持、ステロイドの減量などが期待できます。

ステラーラ

点滴にて投与します。炎症や免疫反応に関与するタンパク質「IL(インターロイキン)-12」と「IL-23」の働きを弱め、大腸の炎症を抑え、腹痛、下痢といった症状の改善を図ります。潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬の治療に使用します。

シンポニー

皮下注射により投与します。炎症の原因となるサイトカインの1つ、「TNF-α」の働きを抑制することで、潰瘍性大腸炎の症状の改善を図ります。主に、中等症から重症の潰瘍性大腸炎、関節リウマチの治療に使用します。

ゼルヤンツ

内服薬です。潰瘍性大腸炎の炎症に関与する「JAK」というタンパク質を選択的に阻害することで、炎症の抑制と症状の改善を図ります。主に、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療で使用します。

潰瘍性大腸炎とクローン病について

過度なげっぷの症状などは当クリニックにご相談ください潰瘍性大腸炎とクローン病は、ともに炎症性腸疾患に分類される病気です。どちらも、未だにはっきりとした原因が分かっておらず、厚生労働省より難病の指定を受けています。
ただ、治療ができないわけではありません。治療によって症状をコントロールし、健康な人とほとんど変わらない生活を送ることが可能です。
いずれも、症状が落ち着く「寛解期」、症状が現れる「活動期」を繰り返しますが、治療によって寛解期をいかに長く維持するかが、QOLを低下させないためには大切になります。
潰瘍性大腸炎もクローン病も、決して悲観し治療を諦めないでください。疑わしい症状が認められる方、あるいは診断後治療がうまくいかないという方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

潰瘍性大腸炎になった時に気を付けることて

日常生活

寛解期においては、通常通り学校・仕事に行くことができます。
症状が強く現れている活動期にも通学や出社は可能ですが、体育の授業、肉体労働は避けましょう。
また、症状の程度によっては入院が必要になります。

食事

症状が現れている活動期には、その症状の強さに応じて、食事制限が必要になります。
しかし、寛解期においては特別な食事制限はありません。
ただ、暴飲暴食、刺激の強い食品の摂り過ぎなどは避けなければなりません。

出張・旅行など

症状が現れている活動期は、症状が悪化したときにすぐに受診できるよう、出張・旅行は控えるのが無難です。
寛解期には、特に制限はありません。
ただし、ご自宅にいるときと同様、暴飲暴食、刺激物の摂り過ぎなどは引き続き避けましょう。

妊娠・出産

寛解期であれば、正常な妊娠・出産は十分に可能です。また、不妊の原因になることもないと言われています。
一方で、症状が現れている寛解期は、妊娠しにくい可能性があります。また、低体重児出産、早産、流産のリスクが高まり、さらに母体の症状をコントロールすることが難しくなることがあります。
以上のことにより、妊娠を希望する場合には、できる限り治療によって寛解期を迎えてから妊活をするのがよいでしょう。

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